たまにしか書かない日記

本当にたまにしか書かないです。すみませんねぇ…

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耳にバナナがつまってますよ
 お気に入りのコントをひとつ。(聞くところによるとイギリスの有名なコントらしいけど本当かどうかはしりません)
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 英国紳士といえば決まって新聞または雑誌、こうもり傘なんかを持ち歩いている情景が目に浮かぶ人も多いでしょう。
 何故そういうものを持ち歩く習慣があるかというと、イギリスでは人の顔をジロジロみるのは大変失礼な行為にあたるため不用意にそういうことをしてしまわないよう自分の視線をさえぎるバリケードに使うためなんですね。(もちろん本来の目的もあるでしょう)

 ここにある英国紳士がいました。彼はこれから長距離列車に乗るところです。
 彼はホームに止まった列車に乗り込むと、適当に空いた席を見つけ荷物を網棚にのせて席につきました。その列車は二人掛けの席が向かい合わせになったよくある座席だったのですが、彼が腰を下ろした向かいの席には一人の先客がありました。
 その人物は彼と同じくごく普通の英国紳士のようだったのですが、妙な点が一つだけありました。それは何故かその人物は自分の耳にバナナを突っ込んでいたのです。
 彼はそれに気づいたときとても驚きました。(彼じゃなくても驚くでしょう)思わずその人物をマジマジと見つめそうになりましたがそれは大変失礼なことなので、彼は気をとりなおしておもむろに手にしていた新聞に目を落としました。
 一応は取りつくろって新聞を読み始めたものの、頭の中は目の前の人物のことでいっぱいで記事なんて読めたものではありません。
 『あ、あのバナナは一体なんなんだ‥‥』
 彼は考えました。
 『落ちついて考えてみよう。あれは確かにバナナだった。途中まで皮をむいたバナナが片一方の耳に突っ込んであった。間違いない。でも何故‥‥』
 『もしかして頭がちょっとおかしいのだろぉか‥‥。気味が悪いからどこか他の席へうつろうか‥‥』
 しかし彼はすでに荷物を網棚にのせて腰を下ろしたうえに新聞まで読み始めていたため、今から席を移動するのはあまりに不自然に思えてそれはできませんでした。
 『でもバナナ以外については身なりも様子もしっかりした人物に見えるし、とても頭がおかしいといった感じではないぞ。だとしたら何か特別な理由があるのかも知れない‥‥』
 彼は実際は読んでない新聞のページをめくりながらさらに考えました。
 『もしかしたら新しいアクセサリーだろぉか‥‥。いや、そんな話は聞いたこともないし、第一全然オシャレじゃないじゃないか』
 新聞のページが進むにつれていろんな考えが頭をよぎります。
 『ひょっとして何かのおまじないだろうか‥‥、新しい宗教とか‥‥。いや、とてもそんな感じじゃないな』
 次の駅に到着すればもしかしたらその人物は降りてくれるかもしれないし、どさくさにまぎれて自分が席を移動することもできそうですが、いかんせん長距離列車だったため次の停車駅まではまだ2時間以上あります。
 そうこうしているうちに、とうとう新聞の最後のページにきてしまいました。彼は途方に暮れそうになりましたが、その時ふとあることに思い当たったのです。
 それは『もしかしたらこの人は自分の耳にバナナが詰まっていることに気づいてないんじゃないだろうか』ということでした。
 『もしそうだとしたら教えてあげるのが親切というものだろう』
 彼は意を決してその人物に話しかけることにしました。
 なるべく小さな声で周りの人に聞こえないように注意しながら言いました。
 「あの大変失礼ですが‥‥、あなたご自分の耳にバナナが詰まってるのご存じですか?」
 ところが、その人物は彼が自分に何かを話しかけたことは気づいたようですが、何と言ったのかはわからなかったようで、
 「え? 何かおっしゃいましたか?」
 と尋ね返してきました。
 彼はしかたなく声を少しだけ大きくしてもう一度繰り返しました。
 「大変失礼ですけど、あなたご自分の耳にバナナが詰まってるのをご存じですか?」
 ところがそれでも通じないようです。
 考えてみたらその人物は片一方の耳にはバナナが詰まってるし、もう一方の耳は少し開けてある窓からの風の音で良く聞こえない状況なのでした。
 彼は周りの人に聞かれてもしかたないとあきらめて大声で言いました。
 「あなた、耳にバナナが詰まってますよー!」
 ところが、それでも聞き取れなかったらしくその人物はいよいよ申し訳なさそうに彼に言いました。
 「すみません。よく聞こえないんです。耳にバナナを詰めてるもので‥‥」

ken Email 1996/09/10 雑談・ネタ


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