今回はちゃんと本の話を…。
ミステリーというよりはホラー作家として扱われてることが多いけど、ちょっと前に乙一の小説にハマってました。
乙一作品は確かにホラー系のものも多いけど、ミステリーとして十分楽しめる作品も多いと思います。
決して「本格派ミステリー」ではないですが、ストーリーの中に何かしら「微妙に謎な点」があって、読み終える頃になってようやく「あー、そーいうことだったのかー」と気づかせてもらえる仕掛けの作品が多いのです。
その「微妙に謎な点」にしても、本格ミステリーを読むときのように「疑いの目」を忘れずにあれこれ推理しながら読んでいれば、おそらく途中で大体想像がつくような(しっかり伏線がある)ものだと思うんですが、乙一作品のすごいと思うのがこの点で、ストーリー展開の面白さに巻き込まれて推理させてもらえない…というか、ミステリーになってることをいつの間にか忘れさせられてしまうんですよぉ。(で、最後になって「あー、そーいうことだったのかぁ…っていうか、これミステリーだったんだー」とショックを受ける、と…笑)
(実は今回急に乙一のことを書いたのは、ちょっと前ここに書いた「月館の殺人(上巻)」を読んだときの「佐々木倫子と思って読んでたら綾辻行人だったー」というショックが、乙一作品を読んだときの感覚に似てたから思い出したのでした…笑)
最初に読んだのはデビュー作「夏と花火と私の死体」(集英社文庫)ですが、これは乙一が16歳の時(発表されたのは17歳)の作品だそうで、もう驚きでした。
もともと自分は文学作品に限らず音楽でも美術でもとにかく創作物については「作者のキャラクターと作品のクオリティは無関係」と思ってて、仮にすごくピュアな物語をドロドロな私生活の作者が書いてたとしても作品が良ければそれでOK、教育的配慮が必要な場合を除けば「子供にしてはすごい」とか「ベテランとしてこれじゃNGでしょ」といった作者のキャラと作品を結びけた評価には興味ないんですが、これを読んだときは思わず「マジで16歳でこれを書いたんかい?!」とブッ飛んじゃいましたよ。
この作品は、全体の構成やストーリー展開のうまさもさることながら、特筆すべき点はストーリーを語っている「わたし」という一人称の主が「物語の冒頭で死んでしまった9歳の女の子…五月ちゃん…」(つまり五月ちゃんの死体?)の視点であることです。
これだけでもかなりブッ飛びもんなのに、その(死体の)妙に素直でかわいらしく軽い語り口調にもう完璧にやられてしまいました。
むむむ、、本当はもっと書評っぽいことを書こうと思ってたけど、読んでだいぶ経ってるから結構忘れてるなぁ…と思いつつ本を手に取ってパラパラめくってたら無性にまた読みたくなったので今から読むことにしました。
…というわけで今日はここまで。
興味ある人は是非読んでみてくださいねぇ〜。
そうそう、同じく乙一作品の「暗いところで待ち合わせ」(幻冬舎文庫)もすごく面白いから、まだ読んだこと無い人はとりあえずこの2冊をゲットじゃ!